月経異常・不正出血
月経異常・不正出血
月経異常や不正出血の多くは女性ホルモンバランスの乱れですが、中にはポリープ、子宮筋腫、子宮がんなどが隠れている場合があるため、異常を繰り返している場合には病気が隠れていないか確認をお勧めしています。
月経とは「約1か月の間隔で自発的に起こり,限られた日数で自然に止まる子宮内膜からの周期的出血」と定義されています。下記に現在の各種定義を記載しましたが、現在定義の再検討が行われており、数年内に変更となる可能性があります。
月経は個人差が大きく、治療が必要なものから経過観察でよいものまで様々です。お気軽にご相談ください。
~9歳 | 10~14歳 | 15歳~17歳 | 18歳~ |
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早発月経 | 正常(平均12歳) | 初経遅延 | 原発性無月経※ |
※初経と思われる出血があったものの、その後月経が来ない場合は「続発無月経」となり、診療方針が異なります。
~39歳 | 40~54歳 | 55歳~ |
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早発閉経 | 正常(平均50歳) | 閉経 |
~24日 | 25~38日 | 39日~2か月以内 | 3か月以上 |
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頻発月経 | 正常(最頻値28日) | 希発月経 | 続発性無月経 |
7日以上早まる | +-6日以内 | 7日以上遅くなる |
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月経不順 | 正常 | 月経不順 |
~2日 | 3~7日 | 8日以上 |
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過短月経 | 正常(最頻値5日) | 過長月経 |
※過多月経の目安:血の塊がでる、夜用ナプキンが3時間もたない方は、過多月経の可能性があります。
20ml未満 | 約20~140ml | 140ml以上 |
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過少月経 | 正常(最頻値50ml) | 過多月経※ |
同じ「月経異常」「不正出血」であっても、年齢により起こりやすい疾患は異なってくるため、年代別に記載しました。婦人科疾患は超音波等の検査をしないとわからない事が多いですが、内診に不安を感じられる方に無理に内診をする事はありません。まずはご相談だけでもご来院ください。
診察は内診台ではなくベッドで行います。基本的に痛みを伴う検査は行いません。
多くは雑菌が腟や外陰部で増殖したもので、軽度であれば自然治癒を待ちますが、必要に応じて外用薬(塗り薬)による治療を行います。
多くは怪我やこすれた等の外傷性ですが、繰り返す場合は出血部位の確認や外用薬(塗り薬)による治療を行います。
ごく稀ですが卵巣腫瘍がみつかる場合があります。必要に応じてお腹の上から超音波を行います(経腹超音波といいます)。
診察はベッドもしくは内診台で行います。基本的に痛みを伴う検査は行いません。
必要に応じて超音波を行い、子宮に異常がないか確認します。経腹超音波では卵巣や子宮の細かい観察は難しい事が多いため、ご本人のご協力が得られれば外陰部もしくは肛門から超音波検査(経会陰もしくは経直腸超音波)を行う場合もありますが、事前にご説明の上行います。
10歳未満で初経が始まる場合を「早発月経」いいます。
初経前には乳房発育、陰毛発育、身長のスパートがある事が多く、乳房発育が7歳未満、陰毛発生が9歳未満で見られた場合は「早発思春期」と言います。
早発思春期の場合、低身長となるリスクがあるため、卵巣腫瘍等が隠れていないか等の確認をし、必要に応じて小児科医へご紹介します。
多くはホルモンバランスの乱れであり、卵巣機能が未成熟なために起こります。先天的な異常等がないか確認し、基本的には経過観察しますが、出血量が多かったり(過多月経)、少量でも1か月以上出血が持続する場合(過長月経)は、貧血防止のため止血剤や女性ホルモン剤を使用する場合があります。
3か月以上月経が来ない場合(続発性無月経)は体重減少やホルモンバランスの乱れ等がないか確認をし、必要に応じて女性ホルモン剤を投与する場合があります。
ごく稀ですが卵巣腫瘍がみつかる場合があります。経腹超音波では卵巣や子宮の細かい観察は難しい事が多いため、ご本人のご協力が得られれば外陰部もしくは肛門から超音波検査(経会陰もしくは経直腸超音波)を行う場合もありますが、事前にご説明の上行います。
診察は内診台で行いますが、ご希望があればベッドでも対応します。基本的に痛みを伴う検査は行いません。
必要に応じて外陰部もしくは肛門、腟から超音波検査(経会陰もしくは経直腸、経腟超音波)を行い子宮や卵巣の状態を確認しますが、難しければお腹の上から超音波(経腹超音波)を行います。
平均的な初経年齢は12歳ですが、15歳を越えても初経がない場合を「初経遅延」いいます。
腟や子宮に異常がないか、乳房・陰毛等の第2次性徴が始まっているか、採血で女性ホルモン値等を確認します。必要に応じて女性ホルモンによる治療を行います。
基本的には「小学校高学年」に記載した診療内容と同等です。
受験や学校行事等で月経調整が必要な場合は、薬が合うかどうか試す期間も必要ですので、出来るだけ早めに(日程が分かり次第)ご相談ください。
ごく稀ですが卵巣腫瘍がみつかる場合があります。超音波を行い、子宮・卵巣に異常がないか確認します。
診察は内診台で行いますが、ご希望があればベッドでも対応します。必要時には軽度痛みを伴う検査も施行します。
性交渉の経験がなくても腟からの診察(内診)が可能な事が多いですが、痛みがあれば経直腸超音波や経腹超音波で代用する場合もあります。
数年以内に妊娠希望のある場合は診療方針が異なりますのでお申し出ください。
多くはホルモンバランスの乱れですが、年齢とともに子宮がんやその前がん病変、ポリープ、子宮筋腫、子宮腺筋症等の異常が見つかる事が増えます(詳しくはこちら)。
がん検診、超音波、採血等で原因検索を行い、必要に応じて止血剤や女性ホルモン剤を使用します。手術が望ましい場合は手術可能な医療機関へご紹介します。
40歳未満の続発性無月経のうち、閉経のようなホルモンバランス(卵巣を刺激しても反応性が低下している状態)をいいます。卵巣機能の低下(女性ホルモン低下)が早い年齢から続くと将来的に骨粗鬆症のリスクが上がるため、当院では45-50歳頃までは女性ホルモンの補充をお勧めしています。妊娠のご希望がある場合や合併症がある場合はこの限りではありませんので、個別の対応が必要です。
治療が必要なものは性感染症(クラミジア、淋菌)や、痒み等の症状があるものですが、帯下増量は排卵に伴う生理的なもの(正常範囲)だったり、炎症があってもごく軽度であれば放置して構わないものもあるため、ご自身では判断が難しいかと思います。気になるときはお気軽にご来院ください。
卵巣腫瘍や子宮内膜症、子宮筋腫、性感染症等が見つかる場合があります。検査しないとわからないものですので、一度ご来院ください(詳しくはこちら)。手術が望ましい場合は手術可能な医療機関へご紹介します。
ご自身に症状がなくても、パートナーに排尿時痛等の症状があったり検査で陽性だった場合は、女性も感染している事が多いため、ぜひ検査にいらしてください。
クラミジアや淋菌は、一旦治癒しても将来的な不妊症や異所性妊娠(卵管等の異常な場所に妊娠する事)の原因になる場合があるため、妊娠を希望する時以外はコンドームを使っていただく事をお勧めしています。
避妊に失敗した後72時間以内であれば、緊急避妊薬(アフターピル)の処方が可能です。できるだけ早く内服したほうが効果が高くなりますので、診察後院内で内服いただいております。
緊急避妊薬(アフターピル) 自費 | 準備中 |
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コンドーム以外にも、経口避妊薬(ピル)や子宮内避妊器具を個々人にあわせてご相談していきます。避妊に関する診療は全て自費になります。
更年期とは「閉経前の5年間と閉経後の5年間とを併せた10年間」をいいます。ただ、閉経年齢も更年期症状も個人差が大きいため、更年期の始まりがいつからか明示する事は難しいです。ほとんどの場合は下記のような症状や女性ホルモンのバランスをみて、治療が必要かを判断します。
多くはホルモンバランスの乱れですが、不正出血があれば子宮がん検診が必要です。またポリープ、子宮筋腫、子宮腺筋症等の異常が見つかる事も多く(詳しくはこちら)、超音波による診察も必要です。手術が望ましい場合は手術可能な医療機関へご紹介します。
女性ホルモンの減少により、腟や皮膚の伸展性や帯下量が減少するために痛みを感じやすくなります。ご希望を伺いながら性交時に使用するゼリーや女性ホルモンの補充等を行います。
卵巣腫瘍や子宮内膜症、子宮筋腫、性感染症等が見つかる場合があります。検査しないとわからないものですので、一度ご来院ください(詳しくはこちら)。手術が望ましい場合は手術可能な医療機関へご紹介します。
55歳になっても月経がある場合をいいます。体質的な場合もありますが、子宮筋腫等を併発している方が多いです。子宮がん等が隠れていないか、貧血になっていないか等を確認する事をお勧めします。
閉経後の不正出血は、腟炎の場合もありますが、がんが隠れていないか確認する必要があります。子宮頸がん検診だけでなく体がん検診も行う場合があります(詳しくはこちら)。
卵巣腫瘍が見つかる場合があります。検査しないとわからないものですので、一度ご来院ください(詳しくはこちら)。手術が望ましい場合は手術可能な医療機関へご紹介します。
女性ホルモンの減少により、腟や皮膚の伸展性や帯下量が減少するために痛みを感じやすくなります。ご希望を伺いながら性交時に使用するゼリーや女性ホルモンの補充等を行います。
女性ホルモンの減少により腟の自浄作用が低下するため、炎症がおこりやすくなります。まずは子宮がんが隠れていないか確認ののち、ご希望を伺いながら抗生剤や女性ホルモン補充等を行います。
最終更新日:2024年11月1日